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現在、愛知芸術高等専修学校(通称:愛芸)でデジタルイラストの講師を務めて7年目のI先生。かつて北海道芸術高等学校(通称:北芸)に通っていた卒業生だ。その頃から現在の講師に至るまでのお話を伺ってみた。
Q. まずは北芸を選んだ学生の頃の話をお聞かせください。
はい、実は私は中学生の時に不登校児だったのです。
中学1年生の途中から人間関係が上手くいかず、学校に行けなくなりました。3年生になっても行くことができなかったのですが、得意だったイラストは家でずっと描いていました。
進路を考えた際、出席日数も足りないしどうしようかと悩んでいたら、「こんな学校があるよ。」と母が新聞に載っていた北芸の広告を持ってきてくれたのです。
興味が沸いたので、すごく緊張しましたが、北芸の体験入学に足を運びました。
そして、その1日で心を動かされました。「自分のペースで学べる」と言ってもらえたからです。その頃は通信制高校でしたので、通うこともあるけれど「自分のペースでいい、無理にがんばろうとしなくていい」と。
当時の私には、プレッシャーを感じなかったのが大きかったです。ここなら通えるかも!そう思えたのです。
Q. 北芸での学校生活はいかがでしたか?
まず、3年間ほぼ欠席なしで通えました!
中学校は半分以上行けなかったのに、しかも、家からキャンパスまで1時間半もかかったのに通い続けることができたのです。
私の専攻したマンガ・イラストコースは制作の時間が多く、黙々と大好きな絵を描いていられました。そんな授業のなかで、先生から「成長したね」とお言葉をもらえたり。授業スタイルが自分に合っていたのが、通い続けることのできた理由だと思います。
先生にも恵まれていましたし、また、イラストという同じものが好きで同じ目標を持っている子たちが集まっていたので、まわりの子たちとも話が合って、嬉しかったのを覚えています。
Q. 卒業後、講師となった経緯を教えてください。
北芸を卒業後は、就職はせず、アルバイトをしながらフリーのイラストレーターを目指しました。なかなか仕事がない時期もありましたが、全国出版の書物の挿絵を描いたり、個展を開いたり、少しずつ作家活動を広げていきました。
愛芸で講師となったのは、フリー3年目に恩師から声をかけてもらったからです。
正直人前でしゃべるのは苦手でしたが、それ以上に母校のために何かできるのが嬉しくて、お受けさせていただきました。
Q. 講師として大切にしていることを教えてください。
イラスト、キャラクターデザインなど、デジタルツールを使った作品作りを教えていますが、生徒たちが「絶対的な正解を描けたのか、不正解なのか」みたいな考え方をしないように気を配っています。
芸術の世界は正解がない。正解があると教えたくないのです。
その子にしかないものを表現できている時点で、良い作品になると私は思っています。指導する・修正するのではなくて、良いところを見つけて、より良くなるように伸ばす授業を心掛けています。

Q. 生徒たちに伝えたいことはありますか?
ありがとうと伝えたいです!!!
講師を続ければ続けるほど、生徒から教わることが増えています。自分とは違う環境や考えで育った生徒。絵を通して、その子たちの「気持ち」を知れるのが幸せなんです。
例えば「夏」をテーマにした課題を出した際、ある生徒が描いた絵は、キラッキラの海の情景でした。話を聞くと、毎年夏に家族と海に行く大切な思い出を描いたそう。本当に眩しいほど輝いた幸せな心象風景に、すごく感動したのを覚えています。
生徒たちの哲学を、幼いからと未熟だからと、下に見てはいけないと思っています。
人を感動させられるのは素晴らしいこと。
みんなの絵は先生のためにもなっているんだよ、感動しているよ、ありがとう!そう伝えたいです!
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