【講師インタビュー:K先生】生徒はいっぱい迷って悩みながら、自分で導き出して作品を描く。その光景が美しい

学生を描いたイラスト

北海道芸術高等学校(通称:北芸)の東京池袋サテライトキャンパスで、マンガ・イラストコースの作品制作を担当しているK先生。講師として北芸で働きながら、フリーランスのイラストレーターとしても活躍するK先生にお話を伺ってきた。

Q. まずは北芸の講師となった経緯を教えてください。

北芸の体験入学の講師として招かれたのがはじまりでした。
参加した中学生の子たちに、コピックマーカーを使った絵の書き方を教える授業を担当させていただきました。
私自身は大学を卒業してからフリーランスのイラストレーターとして活動しており、大学時代に美術の教員免許を取得していたので、それもありお声がかかったのだと思います。

その体験入学がご縁となり、学校側からの依頼で講師を務める運びになりました。
お話をお受けした理由は、まず私の時代には高校生から芸術系の勉強ができるような学校がなかったので、正直“不思議な学校”と思ったのが当初の印象でしたが、どのような子どもたちが学んでいるのか興味を持ったからです。
SNS世代の子どもたちの表現・可能性を見てみたいと思いました。

Q. 講師として教鞭をとってみていかがでしたか?

私はマンガ・イラストコースの作品制作の講師をしています。1年生〜3年生に教えていて、年度の終わりの展示(3年生の場合は卒業制作)に向かって絵画・イラストの指導をしています。

この間まで中学生だった子たちですが、芸術に年齢は関係ないので、大人顔負けの技術を持っている子もいたりして驚かされました。
また、若いので元気だし、発想も新しく、教えたことはスポンジのように吸い込んでいくので教えていてとても楽しいです。

一部に絵を描き続けるのが合わない子もします。自由に書きたいから課題を出されてこなしていくのがツラいのだと思います。思春期なので挫折などもあります。

でも私は、すべての生徒がプロにならなくても、好きな絵を趣味で描き続ければ良いと思います。大学や専門学校に通う前の高校生の時点で気づき、早い段階で改めて自分の進路を再考できるのも北芸の魅力だと思います。
北芸なら高校資格が取れるので、どんな選択をしても道は開けています。

いろんな生徒がいるので、最近どーお?とか、できるだけ生徒と1対1で話をする時間をとっています。少しでも背中を押してあげられて、生徒の原動力になれれば嬉しいです。

Q. 教える上で大切にしていることはありますか?

自分がもし生徒だったら現役で描いている人に教わりたいので、技術だけでなく自身の経験なども伝えるようにしています。 
こんな仕事したよ、こんなイベントに出たよ、コミケの展示の準備はこんな風にしたよ、など。生徒のためになる情報はどんどん発信していきたいです。

また、中学生まではみんな自由に絵を描いてきています。アニメのキャラクターをノートに描くなど。でも「作品」は、人に見てもらうことが前提なので、心づもりを変えなければなりません。
自分の表現したいものを練習しながらも、見る人のことを考えて丁寧に描くように教えています。

自分で描いてSNSにアップする子もいて、それはそれで良いのですが、メンタル的にSNSに振りまわされないようにと注意もしています。
年齢が分からないといろんな人からDMで声をかけられたりするし、怪しい時は相談するように言っています。

SNSって本当に良い面も悪い面もあって。
例えばSNS上のイラストレーターの華やかな投稿ばかり見ている子たちに、現実的なことも教えたいですね。
ずっと絵を描き続ける大変さとか、イラストレーターで健康を害してしまう人もいるので心身ともに健やかさを維持しないといけないとか、どろくさい部分も生徒たちの今後のために伝えていきたいです。

北芸リーフレット2021夏に掲載イラスト
北芸リーフレット2021夏に掲載したイラスト

Q. どのような時にやりがいを感じますか?

完成した作品展示をみて、満足そうにしている生徒たちを見る時です!
そこに辿り着くまで、生徒たちにとってはツラい・しんどいの積み重ねですから。ようやく完成し「展示、すごく良かった!」と言ってもらえると、ここまで教えて良かったと心底嬉しく思います。

生徒たちは、迷いながら作品制作をしています。
本人たちは困っていると思うけれど、大人からすると、いっぱい悩んで自分で導き出して描く、その光景が美しいんです。

完成した生徒の作品にも影響を受けていますよ。
私もがんばんなきゃなと、逆に元気をもらっています!

Q. 生徒たちに伝えたいことはありますか?

生徒たちには、みんなは私の絵を描くことはできないし、私もみんなの絵を描くことはできない。みんながクリエイターだよと言っています。

今は生徒たちに先生として教えていますが、憧れているうちはだめなので、いずれは私と対等に仕事をして、追い抜いてやるくらいの気持ちであってほしいですね。
生徒たちの成長のために、言い方はおかしいけれど、上手く利用してほしいです(笑)。

生徒のみんなへ。
10年後何がしたいかを意識して、今できることをしよう!
想像力を働かせれば、もしここが職場ならさぼっちゃいけないとか、やっぱりもっと勉強しておこうとか、気づきがあると思うから。

でも、1番大切なのは、楽しく絵を描くこと。
仕事でも趣味でも、あなたらしい絵の在り方をこの3年間で見つけてほしい。それが先生の願いです!

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